勿忘荘(わすれなそう)

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公立と私立の違い

 中学生と志望校の決め方に関する話をしていく中で、公立高校と私立高校のどちらがいいか、という話題がよく出てきます。

 

 優劣を付けられるものではありませんが、今回はこの2つを比較した話です。受験校選びの参考として加えてもらえればと思います。

 

 ただ、今回のテーマは個人的な所感や一般的な認識という側面が強いので、必ずしもそうとは限らない、というケースが多くなると思いますので、そのあたりもご理解の上でお読みいただければと思います。

 

 

(ポイント1)授業料と授業の中身 
 公立高校と私立高校の大きな違いのひとつが「学費」になるでしょう。

 最近は私立でも授業料が無償となる学校や地域もありますが、ひとくちに学費と言っても、それは授業料だけではなく、施設維持費や課外活動に使うための積立金など、様々な用途で費用が発生するのが私立高校です。

 お金がかかる分、設備が整っていたり先生の授業がしっかりしていたりしているので、学校生活の充実度が高まります。これが基本的な違いでしょう。

 だからと言って、公立高校の授業の質が悪いとは限らないですし、私立高校の授業がとてもわかりやすいとも限りません。

 結局はどんな先生に出会うかによりますが、どのように先生の配属が決まるのかは公立と私立では大きく異なります。

 

 公立高校の場合、先生はいわゆる公務員あり、小学校や中学校の先生と同様に、地域で区切られてその中から選ばれます。

 その際に授業が上手かどうかはあまり基準にはならないですから、先生による差は大きいと言わざるを得ません。

 それに対して私立高校は、いわゆる企業の社員になりますので、その学校が必要として雇っている先生となります。

 したがって、授業が上手でない先生や生徒からの評判がよくない先生はあまりいないはずです。

 

 まぁ、先生の良し悪しは授業が上手かどうかだけで決まるわけはありませんし、受ける生徒によって評価も変わるでしょうから、あくまでも一般的なものの見方ですが、少なくとも私立高校のほうが高いお金を払っているのだから中身の質を期待してもいい、ということになるでしょう。

 特に、公立高校は進路指導において「生徒任せ」の側面がかなり強い印象です。

 

 

(ポイント2)予備校は必要かどうか 
 この勿忘荘は基本的に受験生を応援することを目的としていますので、どうしても大学受験を希望する人向けの話となります。

 大学進学の予定がない人にはあまり関係のない話となりますが、あらかじめご了承ください。

 

 大学受験に向けて予備校や塾など、簡単に言えば学校以外の何かを必要とするのかどうかは、生徒よりも保護者の方のほうが気になるところかと思います。

 一般的には「私立高校に通えば予備校は必要ない」と言われています。

 それは言い換えれば、私立高校は学校自体が予備校の役割を果たしてくれる、ということになります。

 

 その背景には大学受験による実績を得て、学校のPRをしたいという狙いがあるでしょうから、大学受験に対する本気度は公立高校よりも高いでしょう。

 公立高校の場合、受験は大事だけど学校生活や行事、部活も大切にしたいという側面もありますので、どうしても受験ばかりにかまけていられません。

 もちろん私立高校だって部活や行事に精を出すこともあるでしょうけど、やはりこの部分での差はあるでしょう(進学校でなかったり、全国大会レベルの部活動であったりは例外と言いますか、この限りではないでしょう)。

 

 結局、予備校を必要とするかどうかは、もちろん「その生徒のニーズによる」としか言えませんが、やはり予備校に通う割合は公立高校のほうが高いでしょう。

 先ほども少し触れましたが、公立高校の場合は勉強面や進路決定など、基本的にすべて自分自身で考えて決めることになるので、しっかりと自分を管理しなければなりません。

 裏を返せば、私立に通うと学校からの縛りが強く、なかなか自由に選択ができません。それを窮屈に感じたり、学校の方針とあわなくて結果的に個人戦を強いられてしまうという人が多少なりとも見受けられます。

 

 ただ、大学受験は高校受験ほど単純ではありませんので、なかなか一人で完結させることは難しいです。

 だからこそ何らかの形で学校外のサービスを受ける人が多くなるわけですが、じゃあ私立高校では予備校に行かなくていいのかと言えばもちろんそんなこともありません(実際は私立高校の場合、予備校に通う暇がないくらい学校の授業や課題が多い、ということで予備校に通うことがそもそも選択肢に数えられない、と言えないこともないようです)。

 意識が高い人であれば私立高校に通いながらも予備校に通う人はいます。

 むしろ、最難関大学を目指す人は積極的に予備校に通うでしょう。

 

 印象としては、私立高校に通う生徒は「学校の授業が物足りず、もっと上を目指したいから」という人が多く、公立高校に通う生徒は「学校の授業がついていけないから」という人が多いように思います。

 また、通い始める時期に関しても、私立高校の場合は三年生になるよりも前の時期に通い始める人が多く、公立高校の場合、三年生になってから通い始める人が多い印象です。

 

 

(ポイント3)生徒自身の適性について 
 「うちの子は公立と私立のどちらがあってますか?」という質問をよく受けます。

 中学生ですと、なかなか自分の意志で志望校を決められない人も多いため、保護者の方が志望校探しに協力してくれることが多いです。

 そんな中で公立か私立かを迷っている人もたくさんいます。

 

 あうかあわないか、という観点で公立と私立を比較するなら「公立は自由度が高いので自分次第」「私立は面倒見がいいぶん、自由は少ない」という感じですから、自分がどちらに向いているかを考える場合はこの点でまずは考えてみましょう。

 

 要するに、「あれやれこれやれと言われたくない=自分で考えて自分で決めて行動したい」のであれば公立向き、「自分では決められない=強制的にやらされたほうがありがたい」のであれば私立向きと言えるでしょう。

 

 もちろん公立と私立の枠に捉われず、学校によっての違いはあります。

 授業以外の講習や補習、課題の多さ、個別面談の頻度など、学校側がどれほどしてくれるかを調べておくとよいでしょう。

 

 それに、学校の文化や校風はそれぞれの個性が出ますから、あうあわないはこっちのほうが重要かもしれません。

 ただ、これらの雰囲気は入学してみないとわからない部分が強いですし、同級生にどんな人がいるのかによって大きく変わってくるでしょうから、なかなか予想がしにくいです。つまり、そこを重視しての学校選びは難しいということです。

 

 

 以上が公立と私立の比較に関する話でした。

 冒頭にも書いた通り、これは個人的な意見や一般的な見方をまとめている側面が強いです。

 自分が気になる学校があれば、そこはちゃんと学校説明会や文化祭、パンフレットやホームページを確認して、自分自身の感覚で比較するようにしましょう。

 

 別記事「志望校の決め方」「大学附属の高校について」等もご覧いただき、様々な視点を持って受験校選びをしてもらえればと思います。

 

 決めるときの狙いや基準は人によって様々でしょうから、たくさん悩んで慎重に吟味して、自分にとって最善の選択ができるようにしてもらえればと思います。