勿忘荘(わすれなそう)

勿忘荘(わすれなそう)

Web上で中学生・高校生向けの学習教材のダウンロード販売をしています。

受験生の心得(中編)

 前編は試験前日までの受験や準備に関する話でした。中編では試験当日の心構えについてです。

 精神的なものなので、なかなか実行しようと思ってもうまくいかないかもしれませんが、今回は全体的に「こういう話もあるんだな」と知ることが大事だと思いますので 、ぜひ最後までお読みいただければと思います。

 

 ① 図太く気構えよう 

 試験会場に着くとなぜか、「周りが全員自分より頭がよさそうに見えてくる」という現象が起こるようです。いわゆる“場に飲まれる”という話でしょうけど、特に難関校になればなるほどこうなる傾向が強いみたいです。

 このあたりは気の持ちようなのでなかなか難しいかもしれませんが、結局こういうところで合否がわかれる面も間違いなくあるので、冒頭にも書きましたが、少なくとも事前に「こういう話もあるんだな」という認識でいてもらえればと思います。

 

 試験が始まったらひたすら問題を解くだけですが、ここでも少しでいいので気持ちに余裕を持てるようにしましょう。だいぶ後ろ向きな発言ですが、入試がすべて順風満帆にいくことはほとんどありません。

 傾向が変わった、難易度が上がった、ど忘れした。

 自分の力が出し切れない要因はたくさんあります。ですが、これらは自分だけに限った話ではありません。

 周りの受験生も同じようなことを考えているはずですから、自分だけは取り乱さぬよう、冷静に対処できればそのぶん合格に近づけるでしょう。

 また、特定の問題につまずいたときに、うまく気持ちを切り替えられるかどうかも勝負の分かれ目です。

 難問にいつまでも時間をかけずに、解ける問題を見極めて、それをミスなくきちんと取り切る。口で言うのは簡単ですが、これがなかなかできないので思い通りの合格が得られないのです。

 何があっても決してあきらめずに、1点でも多く取ることを考えて、最後の最後まで戦いましょう。

 

 次は休憩時間についてです。これが個人的に最も大事にしていることですが、休み時間はなるべく一人で過ごし、休憩するか次の教科の勉強に時間を使いましょう。

 試験会場に友達がいる場合、一緒にいれば気持ちは楽になるかもしれませんが、そこでの会話の大半が、次の試験に悪影響を及ぼす可能性があるのです。

 例えば、「さっきの教科は簡単だったな」という話や「問3の答えは〇〇だよね」という会話です。これらはもうすでに終わったことですから、少なくとも試験会場でする意味はありません。

 同様に、手持ちの参考書で終わった科目の答え合わせをすることもやめましょう。気になってしょうがないという人もいるんでしょうけど、本番ではそうしないように事前に心がけるようにしてほしいのです。

 

 これに関しては知り合いに限った話ではなく、周囲の会話でも同じことが言えます。簡単だった、難しかったという話はそれぞれ個人の感覚でしかないので、それが自分の印象と違ったところでなにも問題ありません。

 こういった周囲の声に流されて不要な不安や心配を抱えたまま次の試験が始まってしまっては、やはり最大限の力を発揮するのは難しくなるでしょう。ここは本当に注意してもらいたいところです。

 

 ② 食事など 

 食事は軽めに済ませましょう。満腹になってしまうと集中力に欠けたり眠くなったりします。お菓子での微調整もありでしょう。また、普段口にしないものは避けるようにしましょう。

 よくある例を挙げると、目覚ましのコーヒーや栄養ドリンクなどでしょうか。おなかを壊したり気分が悪くなったりする可能性もありますので、できるだけ普段通りの食事を心がけましょう。これは試験当日の朝食でも同じです。

 

 ③ 他の受験校の合格発表日と重なったときは 

 高校受験ではあまりないかもしれませんが、大学受験では連日のように試験・合格発表・入学手続き締め切りがやってきます。したがって、試験中に他の受験結果が判明するケースも珍しくありません。

 この場合、受験中の合否確認はやめましょう。志望順位が高い学校であれば気になって仕方ないでしょうけれど、目の前の受験に集中することが大事です。

 似たようなものとして、共通テスト(旧センター試験)の自己採点があります。つまり、初日の試験の自己採点をいつするのか、という話です。これについても、やはり全日程が終わってからまとめて自己採点をするのがおススメです。

 

 

 ☆先輩からのアドバイス 

 ・「試験終了〇分前です」という合図は試験によってあったりなかったりなので(同じ学校でも試験監督によって変わるとも)、それには期待せずに自分で時間を管理したほうがいい。

 ・休み時間は廊下に出させられた。用意していたものが全然使えなくて不安になった。

 ・(女子の場合)試験中に髪をいじっているようではダメだと思った。髪は縛ってまとめるのが鉄則。前髪も気になるならピンで留めよう。

 ・ペン回しに失敗してガチャガチャ音を立てる人がいる。試験監督も注意しなかったので、集中できなかった。

 

 会場によってルールが様々なのは仕方ないでしょうか。常に「何があっても動じない」気持ちを持っていたいものです。

 休み時間の件に関してはレアケースだと思いますけれど、こういう事案もあったということで、一応掲載します。

 癖に関してはすぐには直せないかもしれませんが、ペン回しなどは周りにやめろとは言えなくても、自分ではやめたほうがいいでしょう。

 

 以上が試験当日の心得です。自分の出しうる最大限の力を発揮するのはなかなか難しいです。なので、100%が出せなくても合格できるくらいの力を身につけておきたいですが、やはりこれは誰にでもいえることなので、何度も言いますが、そういうものだという心構えで試験に臨めれば、それだけでだいぶ変わってくるのではないかと思います。

 

 後編は試験後についてです。試験後にもするべきこと、考えるべきことはありますので、続きもお読みいただければと思います。

受験生の心得(前編)

 早ければ1月の上旬から入試に挑む人もいることと思います。

 そこで、今回は入試に立ち向かう受験生のみなさんへのアドバイスをしていければと思います。まずは前編で、受験前日までの話です。中編・後編と続きますので、よかったら参考にしてください。

 

 1.受験前日までの準備、確認 

 

 ① 受験会場までの行き方・移動時間について

 会場に到着する時間は集合時間の30分から1時間前くらいにしましょう。あまり早すぎても会場に入れない場合がありますし、ギリギリを狙うと交通機関に遅れが出たり道に迷ったりしてしまった場合に困ります。言うまでもなく、遅刻厳禁です。

 

 また、移動の練習も兼ねた試験会場の下見もできるのならしておきたいです。高校受験の場合、保護者の方と一緒に行く、あるいは会場の近くまで車で送ってもらう人も少なくはありませんが、これは “道に迷う心配” よりも “初めての道ではない” という心理的余裕を得るためという意味合いのほうが強いです。

 高校受験ではあまりないことだとは思いますが、大学受験の場合、本キャンパスとは別の会場を指定される場合があります。この場合、オープンキャンパスで一度行ってるから大丈夫とは限らなくなるので、注意が必要です。

 さらに、大学によっては敷地がとても広く、「〇号館」「△△学部棟」といった形で非常に紛らわしく、毎年まっすぐ自分の行くべき会場に行けない人が後を絶ちません。そのせいで精神状態を乱し、結果的に力が出し切れない、ということも「受験あるある」のひとつです。

 

 そして、前日には必ず天気予報をチェックしましょう。雪の場合は移動時間を倍にして考えましょう。お住まいの地域によって気候に慣れ不慣れはあるでしょうけど、受験当日に関しては例外的な現象が起こっても焦らないようにしておきましょう。

 

 最後に、万が一の事態に備え、各地の連絡先を控えておきましょう。

 用意するべきは「自宅」「親の携帯電話」「自分の通う学校」「受験校」「(最寄り駅の)タクシー会社」あたりでしょうか。その他、信頼できる機関があればそちらも控えておきましょう。

 なお、ここでいう「控える」は携帯電話に登録するのではなく、紙にメモすることを指します。携帯電話を失くしたり電池が切れたりする可能性もなくはありません。常に非常事態に備えて万全を期しましょう。

 

 

 ② 持ち物について 

 必要度合いに分けて箇条書きにしていきます。

 【必須】

 ・受験票 ・筆記用具(コンパス、定規は必要に応じて)

 ・食べ物、飲み物 ・お金(電子マネーはやめておこう)

 ・時計(携帯電話の代用は不可) ・保険証 ・ハンカチ、ティッシュ

 ・雨具 ・防寒具(着脱しやすいものがよい) ・マスク(2枚以上)

 (補足)

 筆記用具に関してですが、受験票に「鉛筆」と書かれている場合は3~5本用意しておきましょう。消しゴムも複数用意しましょう(なお、シャーペンが使えなかったという事例はあまり聞きませんが、事前に鉛筆に慣れておくことも必要になるかもしれません)。

 昼食は試験時間が長い場合など、必要に応じて用意しましょう。現地調達は絶対にやめましょう。混雑による売り切れや長蛇の列は必至です。

 お金はタクシーに乗ることを想定して多めに用意しましょう(5千円あれば間違いなくたりるでしょう)。

 

 【あったほうがいいもの】

 ・試験会場の地図 ・緊急連絡先一覧 

 ・学生証(最近は存在しない学校もあるとか?) ・携帯電話

 ・常備薬 ・チョコやラムネなど(甘いものは集中力を維持するのに効果的)

 (補足)

 常備薬は頭痛薬、酔い止め、目薬などが含まれるでしょうか。普段から使っているものを準備しましょう。軽く口にできるものは試験会場では出せないかもしれませんが、移動中ならば問題ないのです。

 

 【あるといいもの】

 ・これまで勉強してきた過去問やテキスト、ノートなど ・お守りの類

 ・暇つぶしになるもの

 (補足)

 勉強道具は学習効果を期待するというよりかは、気持ちを落ち着かせる効果に期待します。休み時間が長いという声もよく聞きますので、勉強道具あるいは暇つぶしになるものを用意しておくといいでしょう。

 これはなにも試験会場で使うことに限りません。移動中にも待ち時間が発生する可能性もありますので、とにかく「ただ何もせず立ち尽くす時間」を作らないようにしておきたいのです

 

 

 ③ 服装 

 基本的には制服で間違いないですが、制服がない場合あるいは指定がない場合、おとなしめかつ動きやすいものを選びましょう。

 試験会場は暑かったり寒かったりと両極端なことが多いです(受験番号によって教室を割り当てられたり、体育館に行かされたりするらしいです。体育館ではいくら暖房があっても寒くなるでしょう)。ブランケットを持っていく人もいますが、使わせてもらえなかったという声も聞くので、セーターを1枚余計に持っていってひざかけとして使うようにするといいでしょう。

 

 

 ☆先輩からの体験談・アドバイス 

 ・受験会場の教室に時計がないことがしばしば。掲示物などと一緒に意図的に外されている模様。

 ・お弁当の箸を忘れてしまい、コンビニの長蛇の列に並んだ。しかも「商品を買っていない人にはあげられない」と言われた。割りばしは常に携帯しておこうと思った。

 ・雪で試験開始が2時間ずれた。自分は間に合ったけど、待機時間はしんどかったし、おなかもすいた。

 ・前日に全然眠れなかったせいで試験中に頭が回らなかった。

 

 この他にも「教室によって試験監督の態度が違う」という話もあって、「威圧的で消しゴムを落としたときに手を挙げられなかった」という人も。このあたりも何があってもいいように想定しておくといいでしょう。

 睡眠に関してはいつでも思い通りにいくとは限りませんが、少なくとも三日前くらいから早めに寝る習慣をつけるようにしておくといいでしょう。

 というわけで、前編は前日までの心得でした。中編では試験当日に関する内容にする予定ですので、引き続きよろしくお願いします。

 

(高校生向け)過去問の取り組み方・冬

(中学生向けの前編でも同じ前置きをしていますが、こちらだけ目を通しても問題ないように、冒頭は同じ内容を掲載しています。)

 

 夏にも一度お話していることですが、時期が変わったので、改めて過去問の取り組みについてです。

 時期にあわせて内容を調整していますので、以前の内容と重複している部分もありますが、確認の意も込めて書き進めていきます。

 

 中学生でも高校生でも、冬休みが始まる頃には全範囲を一通り学習し終えて、入試対策に力を入れるようにしていきたいです。

 高校受験の場合、地域や第一志望の区分(公立/私立)などで試験日程は大きく異なりますし、大学受験の場合は1月中旬の共通テストが本番のスタートという人が多いでしょうから、冬休み期間中に少なくとも1度は自分が受ける試験の過去問を解いておくべきでしょう。

 

 それでは、ここからは後編として高校生向けに過去問の取り組み方についてまとめますので、受験生の方も来年以降に受験生になる方も、ぜひお読みください。

 

 

 ① 冬休みは共通テストの過去問に専念する 

→冬休みは共通テストの3~4週間前となります。ここで共通テスト(旧センター試験)の過去問を5~10年分取り組みましょう。

 2学期の間にいくらか解き進めている人もいるでしょうけど、秋に解いたときとは感覚も点数も全然違うはずですので、気にしなくていいと思います。

 

 また、大学受験は対策するべきことがとても多いので、なかなか2周目・3周目を取り組む余裕はありません。したがって、1周で終わってもいいように、解いた後の復習や解き直しには相当な力を入れてください

 目安としては解く時間と復習の時間がイコールとなるくらいがいいです(たまに採点して間違えたところの解説をサラッと読むだけの数分で復習を終える人がいますが、これは非常によくないです)。

 

 国立大学を目指すかどうかで共通テストの意味合いが変わりますが、私立大学の共通テスト利用入試で合格を一つは確保したいですから、決して疎かにはできません。

 あとは人によって科目数が違うので所要時間も異なるでしょうから、共通テストの比重が比較的小さい人は早めに切り上げて私立大学の過去問に取り掛かってもいいでしょう。

 

 ② 共通テストが終わり次第、私大の個別試験の過去問を進める 

→私大の一般入試は早いところでは1月下旬から始まりますので、共通テストが終わってから私大の個別一般入試が始まるまで最短で10日くらいしかありません。

 共通テストの対策と私大の対策を同時進めるのはなかなか難しいですので、共通テスト終了後に私大の過去問を重点的に取り組みましょう。

 なお、そのタイミングで一度も私大の赤本を見たことがないということにならないよう、少なくとも冬休み期間中に一回分は目を通しておきましょう。

 

 私大は少ない人でも2~3校、多い人では8~10校くらい受ける人もいるでしょう。少ない人は全部やってもいいでしょうけど、多い人でもやはり3~5校分が限界だと思います。

 そこで、優先度合としては志望順位の上位3~5校に絞っていいと思います。志望順位が低い滑り止めの学校で、確実に合格を取りたいところはとりあえず一回分解いて、それで合格点が取れそうならその一回限りでいいでしょう。

 逆に、滑り止めのつもりの学校の過去問で苦戦してしまうようでは上位の学校の分量を減らしてでも確実な抑えを確保するべきです。

 これらのさじ加減の調整は受験生一人ではなかなか難しいと思いますので、学校か予備校の先生を頼って、客観的な視点からの意見を仰ぐようにしましょう

 

 ③ 国立の過去問は私立が終わってから 

→国立大学の過去問は私立が終わってから一気にラストスパートをかけるように進めましょう。

 私大入試の日程によっては空き日が少ないかもしれませんが、多くの人は2月中旬に私大入試が終わるはずですので、残すところは国立のみ、という状態で1週間くらいは確保できる人が多いです(あるいはそういう勉強計画を念頭に入れて受験計画を立ててもいいかもしれません。このあたりは別記事「受験校の決め方」参照)。

 難関私大は二月下旬まで試験がありますが、その場合は同時並行で進めていくしかないでしょう。少なくともどちらかに専念するのはおススメできません。そうなってしまうのならば、事前に想定したうえで受験作戦を変えるべきですから、これもやはり共通テスト前にスケジュールの確認を徹底しておくべきでしょう。

 

 

 以上が、冬休み以降の過去問の取り組みについてです。

 過去問は本物の入試問題だけあって、よく練られた良問が多いです。過去問で勉強をするようになると一気に力が付くように思います。

 大前提となることを最後に話す形になりますが、大学受験はとにかく、受験作戦をどれだけ綿密に立てられたかが結果を大きく左右します

 詳しくは別記事『受験校の決め方 その1~その5』にある通り、12月までの模試の成績と共通テストが狙い通りにいくかどうかによってその後の入試をどのように設定するか(日程や方式、受ける学校の増減)を事前に念入りに考えておくべきですので、勉強だけじゃなくその面でも十分な時間をかけ、また家族や先生とも相談して、ぬかりのないようにしてもらえればと思います。