勿忘荘(わすれなそう)

勿忘荘(わすれなそう)

Web上で中学生・高校生向けの学習教材のダウンロード販売をしています。

(中学2年生向け)1年前から始める受験準備・その4

 前回までは受験に向けた心構えや2年生のうちにしておくべき準備についてお話してきました。今回からは実際的なお勉強について話していきます。

 

 ① 受験勉強で重要なこと 

 →はじめに、高校受験に向けた勉強におけるもっとも重要なことをお伝えします。それは「効率的な学習をすること」です。高校入試では中学校で学習するすべて内容が出題範囲になりますので、定期テスト前のように一夜漬けのような勉強ではまず太刀打ちできません。

 では、どうすれば効率よく学習ができるかというと、それは「優先順位を明確にすること」が重要となります。そのために必要な目標の決め方について考えていきましょう。

  

 

 ② 短期目標の決め方 

 →「効率的な学習」=「優先順位をつけた勉強」のために必要なことは「短期目標が決まっていること」です。『何のために』『いつまでに』『何を』『どのように』といったことが決まっていないと、何を重視するべきかが判断できません。では、短期目標の決め方を考えましょう。

 短期目標は「やるべきこと」ではなく「やれること」をもとに考えるのが肝心です。ここを間違えて認識している人が多い印象なので、具体的な例を挙げてみます。

 

 

 ③ 具体例で考える目標の妥当性 

 →ある中学2年生が「学校のワークを毎日1ページずつコツコツと勉強している」としましょう。このとき、この学生は効率よく学習ができているかというと、これだけでは判断ができません。

 なぜなら、何を目標に勉強しているかがわからないからです。真面目に勉強を続けていたとしても、ゴールが決まってないとその勉強が妥当かどうかはわからないのです。

 

 定期テスト前に中学生に目標を決めさせると、多くの人が「70点以上取る」といった点数の目標を立てます。

 それに対して先生側から「じゃあその目標を達成するために何をする?」と質問をすると、多くの人がワークの問題を全部解く」といった、範囲を終わらせることを目標に据えます。

 

 これを見たとき、多くの人が「試験範囲を一通りこなしているから大丈夫」と思うのではないでしょうか。

 確かに、課題に対しての勉強量が足りていることは間違いないですが、だからと言って効率的な学習ができていないかというと、実はそうとは言い切れません。

 

 そこで、さらにこの学生に関する情報を付け足します。

 この学生が、「暗記が苦手で、これまでのテストでは半分くらいしかできていなかった」とします。また、「試験2週間前で試験範囲が20ページある」としましょう。

 この場合、この学生の目標はどうでしょうか。「試験範囲すべてを終わらせる」ことと、「1日1ページで2週間、14ページを完璧にする」を目指すこと、どちらが効率的と言えるでしょうか。

 扱えていない6ページを追加して勉強するのと、自分が勉強した14ページ分で間違えたところをもう一度解きなおすこと、どちらがより目標に近づけるでしょうか。

 

 

 ④ 勉強量≠効率的な学習 

 ③の具体例の最後の部分がぜひともわかってほしいところでして、勉強量が足りていることと効率的な学習ができているかどうかはまったくの別問題なのです

 

 テストなので、試験範囲をすべて勉強することは「やるべきこと」であり、目標とするべきです。

 ですが、まずは自分ががんばれる1日1ページを「やれること」として絞って勉強しているのであれば、それは「試験前に試験範囲の7割をやりきる」という「やれること」を意識して決めた目標なので、これなら短期目標として十分に機能していることになります。

 

 学校からの課題でワークを全範囲終わらせて提出する指示が出されている場合、それはもちろん「やらなければならない」こととして無視できませんが、ただやるだけではあまり意味がありません。

 あくまでも受験を意識した目標を設定することを考えたら、自分の現状を見つめつつ、無理なくできる範囲をしっかりと身につけていくことのほうが大事だと思うのです。

 

 

 ⑤ 短期目標とは 

 最後に、短期目標を決めるうえでのポイントをまとめておきます。志望校合格という最終目標や、模試で結果を出すという中間目標だけでなく、そのときの状況に応じて短期目標を決めることが重要だという話をしてきました。

 

 日々の学習における短期目標は、「『終わらせること』ではなく、『やったことをできるようにすること』」であるべきなのです

 つまり、一通りの範囲をこなすことに大きな意味はなく、自分が勉強した部分はしっかり点数が取れるようになることを意識するべきなのです。

 

 これまでは試験範囲をすべてまんべんなく勉強した結果、半分程度の点数しか取れなかったのであれば、やるべき範囲を絞って、そこでしっかり点数を取ることを意識したほうが、結果的に最終目標に向けて効率的に学習が進められていることになるのです。

 

 やったことをできるようにする、というのはなかなか簡単なことではありませんが、ここを意識して同じものを何度も繰り返し勉強できる人は確実に成績が伸びます

 短期目標をひとつずつ決めて、あせらず実行してその目標をクリアして、次はもう1ランク上の目標を設定する。これの積み重ねが受験生校のカギを握ることになると思います。

 

 

 以上が、短期目標の決め方についてでした。今回は具体例をもとに話を進めましたが、次はその具体例の作り方についてお話していきます。