(高校2年生向け)1年前から始める受験準備・その4
前回までは受験に向けた心構えや2年生のうちにしておくべき準備についてお話してきました。今回からは実際的なお勉強について話していきます。
中学生向けの内容と一部重複しますが、勉強の仕方という意味ではやはり通じる部分もあるので、あまり気にしないでください。
① 受験勉強で重要なこと
→はじめに、大学受験に向けた勉強におけるもっとも重要なことをお伝えします。それは「効率的な学習をすること」です。
大学入試で問われる出題範囲の広さと学習内容の深さに対応していくためには、単純に勉強量を増やすだけでは太刀打ちできないからです。
では、どうすれば効率よく学習ができるかというと、それは「優先順位を明確にすること」が重要となります。そのために必要な目標の決め方について考えていきましょう。
② 短期目標の決め方
→「効率的な学習」=「優先順位をつけた勉強」のために必要なことは「短期目標が決まっていること」です。『何のために』『いつまでに』『何を』『どのように』といったことが決まっていないと、何を重視するべきかが判断できません。では、短期目標の決め方を考えましょう。
短期目標は「やるべきこと」ではなく「やれること」をもとに考えるのが肝心です。ここを間違えて認識している人が多い印象なので、具体的な例を挙げてみます。
③ 具体例で考える目標の妥当性
→ある高校2年生が「英単語を1週間に100個ずつ覚えるために勉強している」としましょう。このとき、この学生は効率よく学習ができているかというと、これだけでは判断ができません。
なぜなら、何を目標に勉強しているかがわからないからです。真面目に勉強を続けていたとしても、ゴールが決まってないとその勉強が妥当かどうかはわからないのです。
では、これを「毎週200個ずつを試験範囲として行われる英単語テストに向けて、一週間に100個ずつ勉強している」としたらどうでしょうか。
これを見たとき、多くの人が「試験範囲をやりきれていないじゃないか」と思うのではないでしょうか。
確かに、課題に対しての勉強量が不足していることは間違いないですが、だからと言って効率的な学習ができていないかというと、実はそうとは言い切れません。
そこで、さらにこの学生に関する情報を付け足します。この学生が、「英語を苦手としていて、これまでの単語テストでは3割くらいしかできていなかった」とします。
この場合、この学生の目標はどうでしょうか。試験範囲である200個をがんばって覚えることと、100個を一生懸命覚えてまずは5割の正解を目指すこと、どちらが効率的と言えるでしょうか。
④ 勉強量≠効率的な学習
③の具体例の最後の部分がぜひともわかってほしいところでして、勉強量が不足していることと効率的な学習ができているかどうかはまったくの別問題なのです。
テストなので、範囲である200個の英単語を勉強することは「やるべきこと」であり、目標とするべきです。
ですが、まずは自分ががんばれる100個を「やれること」として絞って勉強しているのであれば、それは優先順位を意識して決めた目標なので、これなら短期目標として十分に機能していることになります。
そして、この100個の勉強の成果として、テストの出来具合を振り返りながら達成度を高め、目標を上方修正していけば、結果として効率的な学習ができていると言えるのです。
⑤ 短期目標とは
最後に、短期目標を決めるうえでのポイントをまとめておきます。志望校合格という最終目標や、模試で結果を出すという中間目標だけでなく、そのときの状況に応じて短期目標を決めることが重要だという話をしてきました。
日々の学習における短期目標は、「必ずやり切れる量で、自分自身で勉強の達成度が点検できること」であるべきなのです。
ポイントなのは「やり切れる量」ということと、「自分自身で点検できる」ことの2点で、③の具体例をもとに考えると、あの学生が「短期目標=『やるべきこと』である英単語200個」としてしまうと、今の100個しか勉強できていない状況は、努力をしても目標を達成できていないので、勉強量が不足していると判定せざるを得ません。
これでは短期目標として継続させることが困難で、効率的な学習ができているとは言えません。
ですから、「短期目標=『やれること』である英単語100個」とすることで、勉強不足という視点から離れて考えることができるので、これによって勉強の達成度や定着度を自分自身で点検する意識が芽生えてくるのです。
この行動の積み重ねによって、短期目標を自分で設定できるようになり、結果として効率よく学習できることにつながるのです。
以上が、短期目標の決め方についてでした。今回は具体例をもとに話を進めましたが、次はその具体例の作り方についてお話していきます。